今回は接着工程に焦点を当てて解説していきます。
主に接着の目的と接着剤の種類・性能についてです。
接着の目的
接着の目的は主に2つあります。
裏地を貼る時
これは裏地のスウェードや布地を貼りつける場合です。
裏地を縫い付けただけですと糸の通ってない部分が浮いてしまいますので、
その部分を接着剤で貼りつけます。
また、縫い付けずに接着のみで済ませる場合も多いです。
私の場合、スウェードは貼りつけのみで布地は貼りつけて周囲を縫う事が多いです。
縫いつけるパーツを固定する時
縫う前段階として、菱目打ちというフォークのような道具で穴を開けていきます。
接着していないと穴も開け難いですし、縫い付ける際に穴がズレてしまうので、
一度接着してから穴を開けて縫い付けます。
また、接着することで縫った部分の強度を上げることもでき一石二鳥なのです。
接着の前手順
接着の前手順としてサンディングがあります。
サンディングというのは紙やすりなどでトコ面(革の裏側)をこすって荒らすことです。
トコ面は元々つるつるになっていたり、
トコノールという糊とワックスを混ぜた様な薬品で磨いたりします。
つるつるの状態だと接着剤の効きが弱くなってしまいますので、
接着面のみをやすり掛けしてザラザラの状態にしてやります。
ザラザラの状態にすることで表面積が増え、接着剤の効きが良くなります。
接着剤の種類と使い方
木工用ボンド
小学生等が工作でよく使うあのコニシのボンドです。
ホームセンターや文房具店でも取り扱いがあり、
入手性の高さや接着性能、お手軽さで人気があります。
私も木工や日曜大工と共用で速乾タイプの木工用ボンドを使用しています。
革や木は思いのほか強力に接着されます。
また、手などについても水で洗い流せるので取り扱いも簡単です。
サイビノール
こちらはボンドと同系の酢酸ビニル系の接着剤です。
性質はボンドとあまり変わりませんが、
サイビノールはレザークラフト用の接着剤ですので
革に対する接着力はやや強力です。
また裏張りや仮止めといった用途ごとに濃度の違う製品が用意されています。
木工用ボンドとは違い、広口の容器で販売されていますので、
蓋を開けたまま作業をしていると乾いて固まりやすいです。
作業中は小まめに蓋を閉めるか、大きめの注射器に入れて使うなど注意が必要です。
※↑の二つは濃度が異なります
ボンド Gクリヤー
こちらもコニシの製品ですが、ゴム系溶剤形接着剤です。
これは酢酸ビニル系よりも強力に接着が可能ですが、
少し取り扱いが難しい接着剤となります。
粘度がやや高く、裏張りのような広範囲に塗布する使い方は少し難しいです。
また通常の接着剤とは異なり、
接着面の両側に塗った後、少し乾燥させてから貼り合わせて圧着します。
この為、ボンドのように「貼り合わせた後で位置調整を行う」といったことはできません。
※追記
ダイソーでコニシ製のボンドGPクリヤーという製品を見つけました。
性能や成分としては上述のボンドGクリヤーとほぼ同一です。
100円と大変安いのでこちらをお勧めします。
ゴムのり
ゴムのりは生ゴムをトルエンなどの有機溶剤で溶かしたものです。
こちらもGボンドクリヤーと同様に接着面の両側に塗った後、乾燥させてから圧着します。
Gボンドクリヤーとは異なり、乾燥後に茶色っぽい色となるのが特徴です。
ですので、あまり厚く塗ってしまうとコバ面から色が見えてしまい、
見栄えが悪くなるので注意しましょう。
接着力としてはボンドよりもかなり強力です。
まとめ
レザークラフトにおいて接着工程は必ずと言っていいほど必要となります。
また、その精度や仕上がりが作品の出来に影響することも多い作業です。
是非、適切な接着方法と適切な接着剤を選べるようになってください。
基本、汎用性の高い木工用ボンドとボンドGクリヤー辺りの2種類を用意しておけば事は足りるかと思います。
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